ドバイ不動産投資の利回りは本当に7%?表面から円建て手取りまで数字で計算する

「想定利回り7%」——ドバイ不動産の資料でよく見る数字である。この7%が手元にいくら残るのか、円にするとどうなるのか。そこまで計算して見せている日本語の情報は、ほとんど見当たらない。そして計算してみると、費用も為替も税金も引いた後の数字が、東京の区分マンションの約2倍で着地する。本記事では、ドバイ不動産の利回りを「表面」「実質」「円建て」「税引き後」の4段階に分けて、実際の数字で計算する。エリア別・物件タイプ別の目安、短期賃貸との違い、提示された数字を自分で確かめる方法、そして利回りの外側にある値上がり益まで扱う。数字を隠さず見せるのは、そのほうがドバイ不動産の強さが伝わるからである。円換算は執筆時点の1AED=44円で統一した。
ドバイ不動産の利回りは何%か——2026年の目安と数字がばらつく理由
結論から示すと、2026年のドバイ住宅の表面利回りは市全体で6〜8%が目安。中価格帯エリアのアパートメントで7〜9%、ダウンタウンやパーム・ジュメイラなど高級エリアで4.5〜6%、ヴィラは4〜6%に収まる。クウェートの金融機関Markazは2026年の見通しで6〜8%、CBREのドバイ住宅市場調査(2025年第4四半期)は6〜9%としており、複数の調査がこの範囲に重なる。
一方で、Global Property Guideの2026年5月調査はUAE全体で4.9%と、ひとまわり低い数字を出している。この開きには理由がある。同社は募集賃料と売出価格の中央値、しかもUAE全体を対象にしており、ドバイの仲介会社は実際の契約賃料とエリアの平均値を使う。利回りに公的な平均値は存在せず、誰がどの数字を分子と分母に置いたかで結果が変わる。だから本記事では、以降の数字はすべて計算の前提を明示して示す。
なぜドバイの利回りは構造的に高いのか。人口が2025年に400万人を超えてなお年5%前後で増え続け、住宅の借り手が途切れないこと。賃料は年単位で前払いされ、滞納リスクが小さいこと。そして固定資産税がなく、保有中に賃料から引かれる税金がゼロであること。この3つが重なって、世界の主要都市のなかでも高い水準が続いている。
エリア別に見たドバイ不動産の利回り。高いエリアほど価格が安い

2026年上半期の複数ポータルの掲載データと取引記録をもとにした、エリア別の表面利回りの目安を示す。いずれもアパートメントの1ベッドルームを基準にした概算である。
| エリア | 1BRの価格目安(円/AED) | 表面利回りの目安 |
|---|---|---|
| インターナショナル・シティ | 1,800万〜2,400万円(40万〜55万AED) | 8.5〜9.5% |
| ドバイ・スポーツシティ | 3,100万〜3,700万円(70万〜85万AED) | 8〜9% |
| JVC | 4,000万〜5,300万円(90万〜120万AED) | 7〜8.5% |
| JLT(ジュメイラ・レイク・タワーズ) | 5,300万〜6,600万円(120万〜150万AED) | 6.5〜7.5% |
| ビジネスベイ | 5,700万〜8,800万円(130万〜200万AED) | 6〜7% |
| ドバイマリーナ | 6,200万〜9,700万円(140万〜220万AED) | 5.5〜6.5% |
| ダウンタウン・ドバイ | 7,900万〜1億2,300万円(180万〜280万AED) | 5〜6% |
| パーム・ジュメイラ | 1億1,000万円〜(250万AED〜) | 4.5〜5.5% |
一目でわかる通り、利回りは価格の低さの裏返しになっている。分母が小さければ、賃料が同程度でも利回りは高く出る。利回り上位のエリアは値上がり幅と売却時の買い手の厚みで劣ることが多く、「利回りが高い=良い投資先」とは限らない。家賃収入を重視するか、値上がりと出口を重視するかで、選ぶエリアは変わる。
表面利回りと実質利回りの違い。ドバイ不動産で引かれる費用

物件資料の利回りは、ほぼ例外なく表面利回りである。年間賃料を購入価格で割っただけの数字で、費用も空室も入っていない。実際の手取りを知るには、次の費用を引いた実質利回りで見る必要がある。
最も大きいのがサービスチャージ(共用部の管理・維持費)で、建物ごとにRERA(不動産規制庁)が年額を承認している。目安として、JVCなど中価格帯の中層物件で1sqftあたり年12〜18AED、ビジネスベイやマリーナの高層タワーで18〜25AED、ダウンタウンの高級物件で25〜35AED。800sqft(約74㎡)の1ベッドルームなら、年間9,600〜2万8,000AED(約42万〜123万円)の幅になる。
次に、賃貸管理会社への手数料が年間賃料の5〜8%。入居者の入れ替え時には仲介手数料(賃料の5%程度)と原状回復費がかかり、退去から次の契約までの空室で収入が途切れる。年に1ヵ月の空室は、それだけで年間収入の約8%減に相当する。ここに修繕の積み立てと火災保険を加えたものが、保有中の費用の全体像といえる。逆にいえば、費用はこれで全部である。固定資産税も都市計画税もなく、賃料に課税もされない。日本の賃貸経営で毎年発生する税負担が、ドバイでは最初から存在しない。
ドバイ不動産の利回りを実際に計算する。JVCの1ベッドルームで試算

ここからが本記事の中心になる。JVCで中古の1ベッドルーム(800sqft)を120万AED(5,280万円)で購入し、月7,000AED=年8万4,000AED(370万円)で貸す前提で、表面7.0%がどこまで下がるかを追う。前提は2026年上半期の同エリアの取引価格と契約賃料の中央値付近に置いた。
| 項目 | 年額(AED) | 年額(円) |
|---|---|---|
| 年間賃料(12ヵ月満室) | 84,000 | 370万円 |
| サービスチャージ(15AED×800sqft) | −12,000 | −53万円 |
| 管理会社手数料(賃料の5%) | −4,200 | −18万円 |
| 空室・募集費(2年に1ヵ月+仲介) | −5,600 | −25万円 |
| 修繕積立・保険 | −2,500 | −11万円 |
| 手取り(現地・税引き前) | 59,700 | 263万円 |
手取り5万9,700AEDを購入価格120万AEDで割ると、実質利回りは5.0%。表面から2ポイント落ちる。さらに購入時の諸費用(登記料4%・仲介2%【※オフプランの場合は仲介費用はかからない】・手数料類で約7%=8万4,000AED)を分母に加えると4.6%。家具付きで貸すなら家具・家電の初期費用4万AED(176万円)を5年で償却する分が毎年8,000AED乗り、4.0%まで下がる。
ダウンタウンで同じ計算をすると差はさらに開く。1ベッドルーム230万AED(1億120万円)を年13万AEDで貸せば表面5.7%だが、サービスチャージが1sqftあたり30AEDなら年2万7,000AED、管理費と空室を引いて手取りは約9万AED、実質3.9%。表面で1.3ポイントの差が、実質では1.1ポイントに縮まる。高級エリアは維持費の比率が高い分、表面と実質の差が大きくなる。
ここで大事なのは、同じ計算を東京にも当てはめること。都心の区分マンションを表面3.5%で買い、管理費・修繕積立金・固定資産税・管理委託費・空室を引くと、実質は2.0〜2.5%が相場になる。ドバイのJVCの実質5.0%は、費用を引いた後の数字で比べても東京の2倍。「表面7%」の派手さを取り払っても、優位は変わらない。
円建てで見るドバイ不動産の利回り。為替と日本の税金

日本に住みながら物件を持つ場合、手取りはさらに2段階を経て決まる。ディルハムは1米ドル=3.6725AEDで固定されているため、円で見た収入はドル円相場でそのまま動く。先ほどの手取り5万9,700AEDは、1AED=44円なら263万円だが、1年前の39円なら233万円、仮に50円まで円安が進めば299万円。物件の収益力は同じでも、円建て利回りは4.4%から5.7%まで振れる。
もう一つが日本の税金である。ドバイに個人所得税はないが、日本の居住者は国外の所得も課税対象になる。手取り263万円が不動産所得として給与などと合算され、仮に所得税・住民税の合計税率が30%なら約79万円が引かれ、残りは184万円。購入価格5,280万円に対する税引き後の円建て利回りは3.5%になる。減価償却や必要経費の扱いで実際の税額は変わるため、申告の前に税理士に確認しておきたい。
整理すると、表面7.0%は現地で実質5.0%、購入費用込みで4.6%(中古の場合。オフプランなら4.8%)、日本の税引き後で3.5%前後。東京都心の区分マンションを同じ税率で計算すると、表面3.5%が税引き後1.5〜2.0%に落ちる。手取りで比べて約2倍——これが、費用と税金を全て織り込んだうえでのドバイ不動産の利回りといえる。「7%」を鵜呑みにする必要はないが、「3.5%」は日本の投資家にとって十分に魅力のある数字である。
物件タイプで変わるドバイ不動産の利回り——アパートメント・ヴィラ・オフプラン

アパートメントは価格が抑えられ、面積のわりに賃料が下がりにくいため表面利回りが高く出る。ただし、共用設備が多い分サービスチャージも高く、実質では差が縮む。ヴィラやタウンハウスは表面4〜6%と低いが、土地を含む資産として値上がり局面の伸びが大きく、ファミリー層の居住需要で空室が短い傾向にある。
オフプラン(未完成物件)の想定利回りは、実績ではなく試算であることを忘れないでおきたい。根拠になっている賃料が近隣のどの物件の実績なのか、引き渡しまでの3〜4年間は収入がゼロであることを織り込んでいるか。この2点を確認するだけで、資料の信頼度はおおよそ判断できる。
短期賃貸(ホリデーホーム)でドバイ不動産の利回りは上がるのか

ドバイでは観光需要を背景に、1泊単位で貸すホリデーホーム運用が広がっている。マリーナやダウンタウンの立地の良い物件では、表面で10%前後の数字も珍しくない。ただし、運営には経済観光局(DET)の営業許可が必要で、清掃・リネン・光熱費・予約サイト手数料・運営代行費(売上の15〜25%)が収入から引かれる。稼働率も夏場の閑散期に落ちる。
費用を引いた実質では、長期賃貸を1〜2ポイント上回る程度に落ち着くケースが多い。手間と収入の変動を受け入れられるかどうかで、選ぶべき貸し方は変わる。長期賃貸には、RERAの賃料指数に基づいて更新時の値上げ幅が制限される(指数との乖離に応じて0〜20%)という制約がある一方、契約期間中の収入は確実といえる。
ドバイ不動産の利回りを自分で確かめる方法——公式データの使い方

提示された利回りは、ドバイ土地局(DLD)とRERAが公開する3つのデータで検証できる。第一に賃料。2025年1月に導入されたスマート賃料指数(Smart Rental Index)は建物単位で適正賃料を示し、Dubai RESTアプリから照会できる。資料の想定賃料がこの指数を大きく上回っていれば、利回りは過大に見積もられている。
第二にサービスチャージ。RERAがMollak(モラク)というシステムで建物ごとの承認額を管理しており、DLDのサービスチャージ照会で年額を確認できる。第三に価格。DLDのオープンデータには実際の売買記録があり、同じエリア・同じタイプ・近い時期の取引と提示価格を並べられる。この3点を確認したうえで、営業担当に「表面か実質か」「稼働は何ヵ月で計算したか」を聞けば、数字の中身はほぼ見える。
ドバイ不動産の利回りに関するよくある質問
利回りは何%あれば合格か。——中価格帯のアパートメントで表面6.5〜7.5%、実質4.5〜5.5%が2026年の標準的な水準。表面9%超の提示は、賃料か価格のどちらかに無理があることが多い。
家具付きと家具なし、どちらが有利か。——家具付きは賃料を10〜15%高く設定できるが、初期費用と買い替えが利回りを押し下げる。長期賃貸なら家具なし、短期賃貸なら家具付きが基本になる。
利回りが高い中古物件は狙い目か。——価格が安い理由を先に確かめたい。築年数、共用部の修繕状況、サービスチャージの未払いの有無。購入後に修繕負担が出れば、利回りは想定を下回る。
利回りだけではないドバイ不動産のリターン。値上がり・ドル建て資産・ビザ

ここまで賃料収入だけを見てきたが、ドバイ不動産のリターンは利回りだけで決まらない。住宅価格は2020年の底から2026年までの6年間でほぼ2倍、年率にして10%前後の上昇が続いている。JVCの1ベッドルームを5年保有して価格が年5%上がったと仮定するだけで、売却時の値上がり益は約33万AED(1,450万円)、年平均で購入価格の5.5%に相当する。実質利回り5.0%と合わせれば、年10%を超える総合リターンになる。しかも売却益に対する現地の課税はゼロである。
もう一つは通貨の性質。ディルハムは米ドルに固定されているため、ドバイの不動産を持つことは実質的に「賃料を生むドル建て資産」を持つことになる。円建ての資産に偏りがちな日本の投資家にとって、これは為替リスクであると同時に、円安局面での資産防衛にもなる。加えて、200万AED(8,800万円)以上の物件を保有すればゴールデンビザの申請対象になり、10年間のUAE居住権という、利回りには表れない価値が付いてくる。
ドバイ不動産の利回りは「手取りで東京の2倍」で判断する

ドバイ不動産の表面利回りは2026年も6〜8%と、世界の主要都市のなかで高い水準にある。サービスチャージと管理費・空室を引いて実質5%前後、購入費用を分母に加えて4%台、日本の税引き後で3%台半ば。同じ計算をした東京の区分マンションは1.5〜2%だから、費用も税金も全て引いた手取りで比べて約2倍。そこに年5〜10%の値上がりと、ドル建て資産としての性質、ビザという付加価値が乗る。
肝心なのは、資料の7%を信じることでも疑うことでもなく、自分で計算し直すこと。賃料はスマート賃料指数、サービスチャージはRERAの承認額、価格はDLDの取引記録——確かめる手段はすべて公開されている。数字を分解して見られるようになれば、ドバイ不動産は「なんとなく高利回り」ではなく、根拠をもって選べる投資先になる。そして分解した先に残る数字は、十分に魅力的である。
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